日本マクドナルドの時間延長と24時間営業店舗増加にモノ申す
/2011年03月22日
日本マクドナルドの時間延長と24時間営業店舗増加にモノ申す
3月21日の春分の日、日本マクドナルド㈱が営業時間を延長し、さらに24時間営業店を増やすと発表した。
リリースのタイトルは、「東京電力供給エリアのマクドナルド店舗営業時間に関する運用変更のお知らせ」。
内容は二つ
1.東京電力供給エリアの店舗営業時間変更
3月21日(月)までの営業時間5:30~21:00→3月22日(火)より5:30~23:00
2.東京電力供給エリアの24時間営業店舗の一部再開
3月21日(月)までの24時間営業店舗20店舗→3月22日(火)から順次 計205店舗
この時期のこの判断は、間違っていると思う。
外食産業、ことにファストフード業界は、競争意識が激しい。トップ企業が他に先駆けて走り出すと、フォロワーたちも走り始める危険性がある。
なぜ間違っていると、私が考えるか。
その根拠を示そう。
3月22日付日経新聞『経済教室』。経済評論家の堺屋太一さんの『大震災と日本経済――非常時に強力な時限組織』が、実によく震災対応の考え方を整理している。
これは、民間の商業・サービス業民間企業の非常時対策にも、大いに役に立つ。
まず非常時対策には、5段階がある。
①救助
②救済
③復旧
④復興
⑤振興
「長期的な視野を持つ必要があり、決して方向を誤ってはいけない」と堺屋さんは指摘する。短期的・短絡的な救助・救済の視点だけで、長期的な復興・振興を間違わせてはいけない。
この非常時の5段階の原則は、「軽いものから先に」。
だから第1に、最も急ぐ軽いものは「情報」。「携帯電話やインターネットで情報が簡単に入る世の中で、非常時の情報収集がいかに難しいかという視点が忘れられていた」
第2は、「生活物資」。まず「飲料と医薬の配布」。その次が「緊急の食料」。そしてその次が「燃料と衣料」。
第3は、「安全な生活空間の準備とそこへの搬送、そして仮設住宅の提供」。
この第3までが、「①救助」で、震災から10日間が救助活動の段階である。
石巻の阿部寿美さん(80歳)とその孫の任さん(16歳)が、3月20日、9日ぶり、217時間後に救出された。
父親の明さんの息子・任さんに対する言葉が、いい。
「口数は少ないが、たいしたやつだと思っていたので、それを証明してくれた。頼もしく思っている」
この救出劇こそ、第1の救助の段階の最後を象徴している。
3月22日から第2段階の「救済」に入った。救済段階には「道路、水道、衛生、電力、ガスなどのライフラインの応急処置を急がなければならない」
堺屋さんは指摘する。「大事なのは速度。最低限のライフラインをつなげるリミットは1カ月以内」。
マクドナルドが営業時間延長を発表した3月21日は、まだ「最低限のライフラインをつなぐ」ときなのだ。
第3段階の「復旧」に入るのは、「被災後1カ月」。この時に「水道、道路、電力、鉄道などを旧(もと)に復すとともに、店舗や飲食店を再開させ、日常生活を復元させる」。この段階で「精神的安定やコミュニティの再建創造」が始まる。
プロ野球パシフィック・リーグの開幕が4月12日というのは、まさにこの1カ月後の第3段階を目途にしている。セントラル・リーグの「3月25日改め29日開幕」は第2段階の救済の時点になる。パ・リーグ首脳の見識の高さが示された。
楽天監督・星野仙一の「平和ボケしとる」の指摘も、ビートたけしの「『被災地に笑いを』なんて戯れ言だ」の発言も、「最低限のライフライン」を死守しようとしている段階の状況判断である。
さらに今回の東北関東大震災では、福島第一原子力発電所の問題が重なった。首都圏の電力を支え続けた福島第一原発の危機が迫っている。いまだ計画停電は続いている。「最低限のライフライン死守」の時だと、自覚したい。
だから私は主張する。「今、被災地や関東圏の店舗は、配給所・供給所に徹するべきだ」。
堺屋さんは重要な指摘をしている。「利にこだわらず情に流されず、経済社会の総合判断が必要だ」「利にこだわらず情に流されず」そのうえで「経済社会の総合判断」が求められる。
マクドナルドの判断は、目先の「利」にこだわってはいまいか。
「この順序をどう選択し、その合理性を国民に説得することこそ、復旧から復興へ、
そしてさらなる振興・発展へと展開していく過程で、最も重要かつ困難な仕事である」
国家や行政府はもとより、民間企業も商業・サービス業も、プロ野球も大相撲も、社会全体を総合的にみて、優先順位の選択をする。そしてそれを顧客や社会に説得する。
①救助の段階
②救済の段階
③復旧の段階
④復興の段階
⑤振興の段階
小売業・サービス業は、現状がこの5段階のどこにあるかの判断をし、それに基づいて意思決定することが不可欠である。
堺屋太一さんの「利にこだわらず情に流されず」には、いま最も大切な「損得より先に善悪を考えよう」の精神が宿っている。
結城 義晴(商人舎 代表取締役社長)
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