セブン&アイ/鈴木会長兼CEO、退任表明で緊急記者会見

2016年04月07日 20:40 / 経営

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文代表取締役会長兼最高経営責任者CEOは4月7日、都内で記者会見を開き、退任すると発表した。

<鈴木会長>
鈴木会長

同日、開催した取締役会で、鈴木会長など現経営陣が提案した、セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一代表取締役社長兼最高執行責任者COOの退任案が否決されたことを受けたもの。

セブン&アイHDの取締役会は社外取締役4人を含む、15人で構成。事業会社の役員人事の決定には、過半数となる8人の賛成が必要だが、投票結果は、賛成7人、反対6人、白票2人で、会社提案は否決された。

<会見の様子>
会見の様子

鈴木会長は「セブン-イレブン・ジャパンのCOOとして、井阪氏本人は頑張ったと思うが物足りなかった。経営幹部からも新しい提案がないとの声があった。セブン-イレブンの社長は、7年を一区切りとして、社長人事を行ってきており、井阪氏は就任から7年が経過するため、退任の内示を行った」と語った。

退任を決めた理由については、「ヨーカ堂に入社以来、人事を中心に仕事をしてきた。これまで、自分が行ってきた人事が否決されたことは一度もない。賛成、反対の数の問題ではなく、社内で反対する意見が上がったら、それは、自分が信任されていないことだと思っていた。そのため、退任することを決めた」と述べた。また、資本と経営の分離という課題を退任の理由にあげた。

取締役会前の指名・報酬委員会でも、井阪氏の退任案がまとまらなかった点については、「5年連続の最高益という実績を前に世間一般的な考え方として、退任はありえないという理屈だったと思う。ただ、セブン-イレブンの経営は一寸の揺るぎもあってはならない。いまのままでは2、3年は最高益を更新するだろうが、いずれダメになる。この点が理解されなかった」と語った。

<質問に答える鈴木氏>
質問に答える鈴木氏

また、「業績が悪くなってから辞めるのは逃げることになる。いま現在、会社が最高益を上げ、2、3年はこのペースを維持できるタイミングで、退任を決めた」と述べた。

退任の時期については、「会社である以上、明日から出社しないとか、4月いっぱいで辞めるとかはできない。フランチャイズ加盟店のオーナーさんからも慰留の電話をいただいている。退任することは決定しているので、明日開催するアナリスト説明会には出席しない。ただ、会社には出社し、退任に向け仕事をしていく」と語った。

セブン-イレブン・ジャパンの社長人事については、「会社提案が否決されたからといって、井阪体制が承認された訳でない。まったくの白紙から、新たな経営体制案を作る必要がある」という。

鈴木氏の次男である鈴木康弘取締役執行役員最高情報責任者(CIO)への世襲人事が報道された件については、「なぜ、そういった話がでるのか理解できない。彼(康弘氏)は、技術屋であり、セブン-イレブンに関わったこともない。こういった話が社外でも社内でもでるというのは、私の不徳とするところだ」と語った。

<村田社長兼COO>
村田社長兼COO

退任後の鈴木氏の処遇について、村田紀敏セブン&アイHD代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)は、「退任の時期も、具体的な処遇は決まっていない。ただ、セブン-イレブンをはじめ、これだけの企業グループを作り上げてきた人物だ。我々が困ったときは、相談に行けば、必ず答えていただけると思っている」と語った。

会見では、就任以来7年連続の増収増益で過去最高益を上げた井阪氏の社長退任提案を巡る経緯について、鈴木会長、村田社長のほか、佐藤信武顧問、後藤光男顧問も出席して説明した。

<顧問も含め4人で経緯を説明>
顧問も含め4人で経緯を説明

退任の内示から、取締役会開催までにあった、鈴木会長、井阪社長、伊藤雅俊名誉会長、村田社長らの日時を交えた、詳細なやり取りを4人が、それぞれ説明した。

概要としては、新しいことを始めない井阪氏に対し、鈴木氏が社長退任を求めたことに対し、井阪氏が反発。井阪氏が、これまでの業績は自分の貢献が大きいと述べ、一人で業績を上げたかのような印象をもつ発言をした旨の説明がなされた。

また、創業オーナーの伊藤名誉会長とのやり取りの中で、「経営はすべて鈴木に任せている」というこれまでのスタンスが、取締役会のまじかに変化し、伊藤名誉会長も鈴木氏の提案に反対したという。

<会見後の様子>
会見後の様子

主要事業会社のトップ人事を巡る混迷を、詳細に記者会見で発表した意図について、後藤顧問は「いま現在、話題と情報が交錯している中で、何が実際に起きているのか、フルディスクロジャーで対応する必要があった。会見をしなければ、憶測もあり、もっと取引先や従業員が混乱しただろう」と語った。

モノ言う株主と知られるサード・ポイントが、今回の件に関わっているのかについては、後藤顧問は「憶測でモノをいうことはできない。ただ、伊藤家の資産管理を担当する人物が代替わりした」と語った。

なぜ、後継者を育てることができなかったのかという最後の質問について、鈴木氏は「私の不徳とするところでございます」と述べ、会見場を後にした。なお、今後の経営体制については、これから検討するという。

<会場を出る鈴木氏>
会場を出る鈴木氏

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