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リンガーハットは7月26日、東日本エリアの店舗で、定番メニューの素材に「国産キクラゲ」を採用し、商品を値上げすると発表した。一部商品の価格は据え置く。
対象店舗は、東京23区内、石川、富山、長野、静岡、以東の店舗で、合計312店。
西日本エリアでは、すでにキクラゲを導入しているため、価格改定はない。
価格改定に伴い、東京23区内の店舗を除く東日本エリアの店舗で、22時以降は10%割増となる深夜価格を廃止する。
リンガーハットが2009年から進めている、看板メニュー「長崎ちゃんぽん」の原材料の国産化の一環。
「長崎ちゃんぽん」は税抜540円が580円となり、そのメニューも約40円、値上げする。スナックちゃんぽん420円、スナック皿うどん420円、まぜ辛めん500円は、裾ね商品として価格を据え置く。
2009年まで、キャベツ、もやし、にんじん、玉ねぎ、きぬさや、キクラゲ、コーンを主要野菜として、原材料に使用していた。
キャベツともやしは国産だったが、そのほかの原材料は中国、アメリカ、タイなどからの輸入ものが主流だった。
2009年以降は、リンガーハットで使用する野菜は、すべて国産化したが、国産キクラゲは国内流通量が極端に少ないため、国産化を断念していた。
約3年前に鳥取の一般財団法人日本きのこセンターに相談し、キクラゲの国産化を目指していた。
鳥取を中心に、岡山、福岡、長崎、熊本、鹿児島、大分、岐阜、長野、岩手、北海道の16産地を開拓し、キクラゲの全量契約栽培を実現した。
2015年4月から鳥取と北陸エリアで、キクラゲを使用した「長崎ちゃんぽん」の販売を開始。2015年8月に西日本エリアにキクラゲを導入。2016年4月に導入エリアを関西・中京エリアにまで拡大していた。
国内で流通するキクラゲは約2500トンで、ほとんどは中国産。国産キクラゲは77トン程度で、流通量に対して3%程度のシェアしかない。
現在のリンガーハットで提供する「長崎ちゃんぽん」に国産キクラゲを使用すると、年間で約50トンのキクラゲが必要で、市場からの調達はできない状況だった。
そのため、全量契約栽培によるキクラゲの調達ルートを開発した。全国の約620店に供給できるキクラゲを確保するまでに約3年の時間を要した。
鳥取では、2016年度は5トンのキクラゲを供給し、将来的には約20トンのキクラゲを供給する計画だ。
2009年に使用する野菜を国産化した時のコストアップは約10億円で、商品価格を20円値上げした。
商品価格は上昇したものの、食の安全・安心を求める女性の支持を集め、女性とファミリー層の来店が増加した。
ファミリー層の増加もあり、2009年以降はショッピングセンターのフードコートへの出店を強化。2009年~2015年に出店した約200店は、フードコートへの出店が多くなった。
今回、キクラゲを導入することで、約2億円のコストアップがあるため、東日本エリアでの商品の値上げを決断した。
川内辰雄営業戦略部執行役員は「世の中の流れが値下げの空気となりつつあると認識しているが、ただ安い商品を売っているだけでは、産地が疲弊し品質の高い商品の安定供給ができなくなる。しっかりと自信を持った品質の高いメニューを提案することで、値上げ以上の価値をお客さんに伝えていきたい。2009年の野菜の国産化は、異業種を含め他社も追随してきた。安心・安全な食材を求めるニーズは高い」と語る。
国産キクラゲの全国導入を記念して、新メニュー「きくらげたっぷり塩ちゃんぽん」(690円)を全国で販売する。
通常の長崎ちゃんぽんに使用する約3倍となる30gのキクラゲを使用し、とんこつベースの「長崎ちゃんぽん」とは違う塩ベースのスープで、きくらげの黒い色を際立たせた。
今後、定番メニューとして販売する予定で、販売目標は注文率の7%、1日1店あたり約20食の注文を目標とする。
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